最高裁判所第二小法廷 昭和44(あ)735 決定
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人前堀政幸の上告趣意第一点のうち、憲法三九条違反をいう点について検討
すると、記録によつて認められる本件の訴訟経過によれば、原判決が本件公訴事実
中詐欺の点につき判決理由中において無罪の判断を示したことは、さきになされた
第一次控訴審判決における同様の判断との関係において、憲法三九条にいう「既に
無罪とされた行為について刑事上の責任を問」うたものではないことが明白である
といわなければならない。第一次控訴判決における無罪部分は、牽連犯として起訴
された事実の一部に関するものであるから、被告人のみからの上告申立によつても、
有罪部分と共に上告審に移審係属し、上告審のした差戻判決によつて、再び控訴審
に係属したものとみるべきであつて、第一次控訴審かぎりで別個に確定したとはい
えないからである。とすれば、所論は前提を欠き、適法な憲法違反の主張にあたら
ないものというべきである。上告趣意第一点のその余の主張は、単なる法令違反の
主張であつて、適法な上告理由にあたらない。同弁護人の上告趣意第二点ないし第
四点は、事実誤認ないし単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由
にあたらない。
また、記録を調べても、本件について刑訴法四一一条を適用すべき点は認められ
ない。
よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり決定する。
昭和四六年六月二三日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 小 川 信 雄
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裁判官 色 川 幸 太 郎
裁判官 村 上 朝 一
裁判官 岡 原 昌 男
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